2015年9月12日土曜日

伊藤英子が紹介する小説

こんにちは。小さい頃に、小説家になりたいという未来設計を描いてからはや十数年。いまではその未来設計が少しずつ現実のものとなってきつつある伊藤英子です。 昔から本をたくさん読んでいて、未来設計のためにもきっかけづくりが大事なんですよね。 私が読んだ小説の中で感動作を少し紹介しようとおもいます。 何かのきっかけづくりになってくれれば幸いです。 前回からの続きより 怒り(吉田修一) 「悪人」「さよなら渓谷」「横道世之介」「平成猿蟹合戦図」などで有名な吉田修一のミステリー・社会小説。殺人現場に「怒」という謎に血文字が残され未解決となった八王子事件。その後に書かれる前歴不詳の3人の男を巡る物語。殺人事件を軸にしながら、複数の場所でストーリーが進んでいき、徐々に増える登場人物、それぞれ出てくる不審人物。視点が各章で切り替わっていくので、読むのを止められません。相手を信じることの難しさについて考えさせられたり、相手を思う気持ちの様々な姿に切なくなります。松山ケンイチ・綾野剛・森山未来といった多彩キャストで2016年に映画化が決定されていて、疑惑の男がどうスクリーンに現れるのか楽しみです。 火車(宮部みゆき) 宮部みゆきといったら「ソロモンの偽証」だと思いますが、最高傑作は「火車」だと思います。地味な展開なのにドキドキされられる、文章ならではのサスペンス。誰もが一度は思うであろう、「クレジットカードは魔法のカード!」。そんなカードにも怖い面がある、ということを再認識させられます。ラストに近づけば近づくほど、止められない。とにかく最後の一ページが珠玉でした。食後のデザートまで食べてしまいたいところだけど、全部食べると満腹になってしまうからと腹八分目で箸を置く潔さ。鳥肌のオールスタンディング! この珠玉のラストをぜひ読んで欲しいです!